運営委員長の思い

運営委員長より

VRAA運営委員長のバーチャル建築家・番匠カンナです。

今回、この第1回VRAA開催に向けて、有志が仕事の合間を縫って準備を続けてきました。なぜ今、VRChatを舞台としたVR空間デザインコンテストを開催するのか。
少し長いですが、思いを書きます。

第1回VRAAに先駆けて、昨年秋に「第0回VR建築コンテスト」をxRArchi主催で開催しました。小規模なテスト回にもかかわらず60案以上の応募をいただき、さまざまなメディアで紹介されるに至ったこと、とても感謝しています。

この「第0回」の目的は、明言はしていませんが、VR空間の熱気やゲームエンジンというツールに対して建築分野の人々の目を向けさせたいというものでした。しかし、今思うとこの目的はとても狭い視野のなかにあったと思います。
特に「建築」という言葉が持つ専門的でクローズドなイメージや、いわゆる「建物」であろうとする固定観念から、何より私たち運営者自身が想像以上に自由でなかったことに気づかされました。

これを踏まえて、VRAAは、より大きなテーマにチャレンジしようとスタートしました。

まず捨てたのは「建築」という言葉です。
xR技術が発展した先の「人類が生きる空間そのもの」をテーマに据えるとき、建築という言葉は足かせです。人類が生きる空間は、建築という概念よりもずっと広く、誰もが等しく夢見たり生み出せるものだからです。手垢まみれの言葉を捨て、建築の人、ゲームの人、CGの人、VRChatの住人といった分け方をやめたとき、初めてみんなで未来の空間を考えることができるのだと思います。

なお、VRAAには依然として「Architecture」という言葉が含まれています。この言葉は建築ではなく、アーキテクチャとそのまま読んでください。アーキテクチャという言葉に込めたのは、空間に、何らかの意志とそれを実現する仕組みが存在するということです。

でも、どうか難しく考えないでください。
こういう楽しさや豊かさを生み出したい、という作者の思いが空間となって表れたものであれば、それはアーキテクチャです。

もうひとつ。私たちはVRを取り巻く熱気にいつも驚きと感動を覚えています
特に、第1回VRAAの舞台としたVRChatには、見たこともないような空間やワクワクするような活動が日々溢れかえっています。これほどまでに自由でクリエイティブな三次元空間は、VR以前には存在しなかったと断言できます。

そして、VRAAは、こうしたVR空間で生み出される作品やクリエイターにとっての、新たな表現の場のひとつになれたらいいな、と考えています。
もちろん、VRをめぐるこの濃密な瞬間が安易に外部の評価にさらされることや、社会的に意味づけされることが、必ずしも良いこととは思っていません。ただ、ここに未来を感じる人々が、リアル/バーチャルの垣根を超えて新たな出会いや発見をする場がつくり出せたら、それは人類にとって大きな財産になると、強く思っているのです。

長くなりました。

VRAAは始まったばかりで至らない点があるかもしれません。ですが、至らなさを含めて楽しむのが2019年時点のVRです。(開き直り)

ぜひ、誰でも自由に、魅力的なワールドをご応募ください。

そして一緒に未来の空間を楽しみましょう!

VRAA運営委員長 番匠カンナ